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正岡子規
名月や 伊豫の松山 一万戸
内のチョマが 隣のタマを 待つ夜かな
春や昔 十五万石の 城下哉
門しめに 出て聞いて居る 蛙かな
酒好きの 昼から飲むや 百日紅
今年はと思ふことなきにしもあらず
紀元二千五百五十五年哉
柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺
にくにくと 赤き色なり 唐辛子
草茂み ベースボールの 道白し
清水の阪 のぼり行く 日傘かな
行列の 葵の橋に かかりけり
桔梗活けて しばらく 仮の書斎哉
柿の木に とりまかれたる 温泉哉
石手寺へ まはれば春の 日暮れたり
うそのような 十六日櫻 咲きにけり
風呂敷を ほどけば柿の ころげけり
おもしろく ふくらむ風や 鯉幟
夏帽に 桔梗さしたる 生徒哉
子供がちに クリスマスの人 集ひけり
クリスマスに 小さき会堂の あはれなり
会堂に 国旗立てたり クリスマス
贈り物の 数を尽くして クリスマス
やかましきもの ニコライの鐘 秋の蝉
フランスの 一輪ざしや 冬のばら
ここぢゃあろ 家あり梅も 咲いておる
故郷は いとこの多し 桃の花
鯛鮓や 一門 三十五六人
道ばたや きょろりとしたる 曼珠沙花
山本や 寺は黄檗 杉は秋
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